毎週水曜日定期発行
Weekly Mathematics Magazine
《数学通信》
MAT-55 1993.7.21(Wed)

★時間の謎★〜年をとるのは是である!〜その二〜

前号で時間の流れが短く感じるようになる理由を考えてみた.

【そう,意識の中の『時間』のサイクルが確実に長くなっていくのである.

一日が一つのサイクルであったときには,一年はその365倍もある.が,一ヶ月が一つのサイクルであるときには,一年はその12倍でしかない.さらには,半年単位でものを考えるようになると,一年はその2倍でしかない.

感覚の問題であるから,感覚的に言うのである. 365倍よりも,12倍の方が,2倍の方が短いのは当然である.

つまり,年と共に,一年が短く感じるというのは,自分の中にある『時間』というサイクルがどんどん長くなっていくからである.充実していようが,していなかろうが,結局のところは,そのサイクルに影響されるのである.】

と述べたはずである.思い出してもらえただろうか?

では,そんな理由で,年を重ねていくと共に『時間』の経過が短く感じていくということは,どこで年をとることは”是”であるということに繋がっていくのか?

若いから,年をとっているから,それだけの二者択一的な発想で,物事の善悪,是非が決められるわけではない.が,要は考え方一つでしかないということはハッキリしている.

そう,人は必ず老いるのである.好むと好まざるとに関わらず,嫌でも年をとっていくのである.どうあがいたところで,人は時間という流れの外へは行けないのである.老いから,死から,逃げ切ることなど出来ないのである.では,どうするのか?ただ漫然として,老いを,死を受け入れるのか?どうせ受け入れなければならない老いである,死である.ならば,前向きに受け入れたい!そう思いません?

年をとるということは,今まで出来なかったことが出来るようになるということに繋がるのである.わかります?

年をとるということは,自分の中にある『時間』というサイクルがどんどん長くなっていくということである.つまりは,長い時間をかけた計画を立てれるようになるということである.

その昔,今日遊ぶことしか頭になかった子どもが,遊びすぎて家に帰る時間が遅くなっても,母親に怒られることすら解らずに,ただ”今”だけのことしか頭になく,遊びほうけることしかできなかった子どもが,年をとるごとに,今日のことが明日のことが,一週間後のことが,一ヶ月後のことが,考えられるようになるのである.

すごいと思わない?たかが1時間後のことすら考えられなかった子どもが,一ヶ月後のことにまで考えをめぐらせれるようになるのである.

もちろん,誰も彼もが年をとるだけで,自分の中にある『時間』のサイクルが長くなるわけではない.それなりの生き方をしなければならないことはいうまでもない.

が,それはさておき,年をとるにつれて,長い時間を考えられるようになるのである.であれば,一日では出来ないような,それこそ,一週間,一ヶ月もかかるような計画も立てれるようになるということである.そして,計画が立てれるのであるから,その計画を実行に移すこともできるということでもある.

素敵じゃない!

こんな素晴らしいことはないじゃない.わかるかい?今まで出来もしなかったことが,考えもつかなかったことが,出来たり考えられたり出来るようになるのである.これを進歩,向上と呼ばなくて,なんと呼べばいいんだ?!

年をとるのは是である.

そう,人は必ず年をとらなければならないのである.どうせとる年ならば,”いい”年をとりたいものである.

後はどう考えるか?でしかない.年をとりたくないとだはんをこいてもどうにもならないのだから,だから,前向きに年をとろうよ!!

年をとるのは是である.

★成績は性格に影響される!!★

知ってた?君達の,いわゆる,成績は,君達の性格と密接な関係があるって?考えたことがあるだろうか?ひょっとしたらないのではないだろうか?本当だよ!成績が伸びないのは,性格が良くないからなんだよ.

同じだけの努力をしても,成績の伸びる者と伸びない者とがいる.すると人は,それを頭の差,能力の差にする.が,実は違うのである.それは性格の差でしかない.成績が伸びる性格と,伸びない性格があって,伸びない性格をしていると,努力がただ空回りしてしまうだけで,ハッキリ言ってものすごく空しい思いばかりを味わうことになる.悲しいが,それが現実である.

君達は大丈夫だろうか?君達の中にも,成績の伸びない性格をした者がいるのではないだろうか?いや,きっといるはずであるし,現にいる.誰とは言わないが,たぶんこいつは成績が伸びない,今は大丈夫でも必ず伸びなくなる!そう,思える者がいる.

冗談でも,脅しでもなく,本当に性格の持つ力は大きいのだよ.

では,どんな性格は成績を伸ばさないか?

一つは,素直でないこと.他人の言葉に耳を貸さない,人の話を聞くことが出来ない,そんな奴は絶対に成績が伸びない.何故って?人の話に耳を貸さないということは,自分の世界に閉じこもっているということである.自分の世界がいったいなんぼのもんだというんだ!大して広くもない世界に閉じこもって,それで満足してしまう奴に向上心などあろうはずがない!そんな向上心のない奴がどうして成績を伸ばせる.成績だけではないけれど,何にしても,今より良くなりたい!そう願う向上心から始まるものである.

だからこそ,素直でなければいけない.人は,それこそ普通の人は,悪意でものを言ったりはしない.その人に良かれと思って,時に厳しいことや聞きたくないことをも言うのである.その人のためになると信じていろいろなことを言ってくれるのである.それを聞きもしないではねのけてしまうなんて,最低である.まずは聞いてみる.耳を貸してみる.そして,その中から自分の中に受け入れることが出来るものを受け入れていく.それこそが素直さである.

もう一つ,大切な性格として,否定的に物事を考えないということがある.間違うなよ.否定的に物事を考えないということは,楽観的である,ということとは違うからな.

やってもダメかもしれない,努力しても無駄かもしれない.だからやらない,努力しない,そんな考え方をすることを否定的に物事を考えるというのである.何とかなるんじゃない,いいよ,運がいいから俺って,これが楽観的な考え方である.そして,楽観的でもダメなのである.いいかい,楽観的がいいのではないんだよ.

どんなときも否定的に物事を考えない.苦しくてもつらくても,あるいは大事を成そうというときでも,いや,そういうときだからこそ,絶対に否定的に物事を考えないのである.

成績もそうである.伸びるか伸びないか,そんなことは分からない.でもね,だからといって,伸びないかもしれない,勉強したってダメかもしれない,とダメの要素ばかり探していたらきりがない.それなら逆に,やれば伸びるかもしれない,勉強したら成績が上がるかもしれない,そう考えることの方が絶対に建設的でしょう!それに気持ちがすごく軽くなるでしょう.やりさえすれば何とかなるんだ!努力は報われるんだ!そう考えるからこそ,余計に頑張れるんではないだろうか?

俺はそう思っている,いや,そう信じている.

成績は,性格を変えれば,考え方を変えれば誰でも伸ばせられるのである.そこそこの努力で,そこそこの頑張りで!

ちょっとこの夏休みに性格改造に取り組んでみたら?必要であれば俺が手伝ってあげよう.ふっふっふっ.

夏休み,夏季講習,夏季課題,部活等々いろいろ忙しいが,有意義にそして,大切に過ごせよ!!

Printed in Tounn.1993.
Written by Y.O^kouchi.1993.
Copyright 1987,1993 MAT Inc.
MAT is Mathematics Assist Team Corporation.