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問 題 3

問題文

 第1段階で一辺の長さが1の正三角形ABCの中央に正四面体を立てて見る。ただし,K,L,Mは辺AC,AB,BCの中点とする。

第1段階 (1)  左図の立体の体積を求めよ。

 さらに,この「正三角形の上に,正四面体を立てる。」操作を,第1段階で完成した6個の正三角形に適用したものを第2段階とする。

第2段階 (2)  左図の立体の体積を求めよ。

 同様に,この第2段階でできた正三角形に正四面体を立てる操作を繰り返してできたものを第3段階とする。

第3段階 (3)  左図の立体の体積を求めよ。


初期段階
(4)  左図の様に1辺の長さが2の立方体ABCDEFGHの内部に,正四面体BDGEがある。
 この正四面体BDGEの4つの正三角形について,同様に正四面体を立てていく。この操作を3回実施して完成した第4段階の立体の体積は,初期段階の体積の何倍になるか。また,第n段階になったときの立体の体積を予想せよ。


第1段階  第2段階
第3段階  第4段階

着眼点

 「フラクタル」という言葉を聞いたことがありますか?
 フランスのB・マンデンブローという研究者が発見した図形で,リアス式海岸,山の起伏,川,生物等の自然現象の中に,どんどん発見されている。自己相似構造をもつ図形のことをフラクタルという。


 上の図は,コッホ曲線といわれる曲線で,コンピュータ・グラフィックスの進歩により簡単に作図されるようになった。
 今回は,このコッホ曲線を,3次元化した問題を出題した。この操作を限りなく繰り返すと,かなりデコボコした極限立体を作ることができる。
より,n→∞としたとき,V→12/3=4

解答例

(1) 頂点Nから,△KLMへ垂線を下ろした点をHとする。
床面の△KLMの頂点Lから辺MKへ垂線を下ろした点をIとする。
辺IK=1/4,IK:KL:LI=1:2:より
   KI=/4
また,IH:HL=1:2より
   LH=/6
三平方の定理NH2+HL2=NL2より
   NH2=1/4−3/36
   NH2=1/4−1/12
     ∴NH=1/
正四面体KLMKの高さは1/である。
体積をV0とおくと
   V0=1/3×△KLM×NH
    =1/3×1/2・(1/2)2×sin60°×1/
    =1/24×/2×1/
    =1/48
    =/96  …(答)
(2) 第1段階の図形には,1辺が1/2の正三角形が6個集まったものである。
前問より1辺の長さが1の正三角形の上に形成される正四面体の高さは1/であるから,1辺が1/4の正三角形の上に形成される,正四面体の高さは1/4
小さな正四面体の体積をW0とすると
   W0=1/3×1/2×(1/4)2sin60°×1/4
求める体積をV1とおくと,
   V1=V0+6×W0
    =/96+/256=11/768
(3) 第2段階の図形には,1辺が1/4の正三角形が62(=36)個,集まったものである。
 同様にして,1/8の正三角形の上に形成される正四面体の高さは1/8
体積をW1とすると,
   W1=1/3×1/2・(1/8)2sin60°×1/8
求める体積をV2とおくと
   V2=V1+36W1
    =11/768+3/1024=53/3072
(4) 1辺の長さが2の立方体より,AB=AD=2
三平方の定理よりBD=2
正四面体BDGEは,1辺の長さが2からなる正三角形で形成されている。
体積をV0とおくと
   V0=1/3×1/2×(2)2×sin60°×2/
    ∴V0=4/3
第1段階の操作として,正四面体BDGEの4つの正三角形の上に,1辺の長さがの正四面体を4個加えるので,体積をV1とおくと
   V1=V0+4×1/3×1/2×()2sin60°×/
   V1=V0+2/3
    ∴V1=2
第2段階の操作として,第1段階の1辺がの6×4個の正三角形の上に,1辺が/2の正四面体を6×4個加えるたもので,体積をV2とおくと
   V2=V1+6×4×1/3×1/2×(/2)2×sin60°×/2×1/
    ∴V2=5/2
第3段階以降は帰納的に考えられないだろうか。
   
   
    ∴V3=23/8
以下同様に考えると
   
    ∴V4=23/8+9/32=101/32
V0:V4=4/3:101/32=128:303 …(答)
 第n段階の体積Vと第n−1段階の体積Vn−1との関係式を作成してみる。
   V0=4/3
   
     ∴ …@
@にn=1,2,3,…,nまで代入すると
   
    ∴

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