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絶対値のついた不等式

〜「mathedu」における議論から〜

編集:札幌稲北高等学校  早苗 雅史

 
 
●送信 
 
-----Original Message----- 
差出人 : Masasi Sanae <cptoh@mue.biglobe.ne.jp> 
宛先 : mathedu <mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp> 
日時 : 1998年8月27日 13:13 
件名 : [mathedu98-00337] 絶対値のついた1 次不等式 
 
 
早苗@北数教・数実研です。 
 
先日研究会で絶対値のついた1次不等式のことが話題になりました。 
 
問.|x-1|≧2x+3 を解け。 
 
(解1)…場合わけ 
@x≧1のとき x≦-4…不適 
Ax<1のとき x≦-2/3 
@,Aより x≦-2/3 
 
(解2)…原点からの距離 
x-1≦-(2x+3),2x+3≦x-1 
x≦-2/3,x≦-4   ∴ x≦-2/3 
 
(解3)グラフ 
下図 fig1.gif 
 
何が問題になったかというと, 
  教科書や参考書では(解2)の解き方をしているものが 
  少ないのではないか。それはなぜだろう? 
ということでした。 
 
問題が|x-1|<2x+3の場合であれば(2)のような 
解法もよく見かけるのですが... 
 
1つには(2)の解の最後で,“または”と“かつ”を 
間違えやすいということがあげられるのでは 
ないかと思います。 
(下図 fig2.gif 参照) 
実は私自身も少し気持ちが悪い?感じがして 
実際には場合わけで教えています。 
 
最初に発案された中村先生の話では 
  “教育的配慮”があるのでは? 
ということをおっしゃっていました。 
 
なにかご意見があればお聞きしたいのですが。 
 
******************************************* 
北数教・数学教育実践研究会 運営委員 
 札幌稲北高校 早苗雅史 (suujitu@nikonet.or.jp) 
   TEL 011-694-5033      FAX 011-694-5074 
ネットワーク型教材データベース「数学のいずみ」 
   URL   http://www.nikonet.or.jp/spring/ 
******************************************* 
 
 
●返信1 
 
-----Original Message----- 
差出人 : MIYATA Yoshiyuki <miyo@iname.com> 
宛先 : mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp <mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp> 
日時 : 1998年8月27日 18:42 
件名 : [mathedu98-00338] Re: @dBPCM$N$D$$$? 1 <!ITEy<0 
 
 
-----BEGIN PGP SIGNED MESSAGE----- 
 
"Masasi Sanae" <cptoh@mue.biglobe.ne.jp>さん、こんばんは。 
 
みやた です。 
 
        1998年8月27日(木)午後1時6分 頃の、 
        【 [mathedu98-00337] @dBPCM$N$D$$$? 1 <!ITEy<0 】 
        という題のメールへの返信です。 
 
>問.|x-1|≧2x+3 を解け。 
> 
>(解1)…場合わけ 
>@x≧1のとき x≦-4…不適 
>Ax<1のとき x≦-2/3 
>@,Aより x≦-2/3 
> 
>(解2)…原点からの距離 
>x-1≦-(2x+3),2x+3≦x-1 
>x≦-2/3,x≦-4   ∴ x≦-2/3 
> 
>(解3)グラフ 
>下図 fig1.gif 
> 
>何が問題になったかというと, 
>  教科書や参考書では(解2)の解き方をしているものが 
>  少ないのではないか。それはなぜだろう? 
>ということでした。 
 
少ない?! ということは「ある」ってことですよね(^^; 
(解2)は誤答だと思いますが.....結果はあっているけど解としては...... 
 
この解答が成立するためには -(2x+3)≦(2x+3) が成立していないといけませんが、 
それは無条件では成立しません。 
原点からの距離を使う方針で解くには、 
(1) -(2x+3)≦(2x+3) のときは x-1≦-(2x+3) , 2x+3≦x-1 ゆえに....... 
(2) -(2x+3)>(2x+3) のときは x-1≦2x+3 , -(2x+3)≦x-1 ゆえに....... 
って場合わけが必要です。 
 
|x-1|<2x+3 の形の問題の時は 2x+3 が正だと明らかなので自動的に 
- -(2x+3)≦(2x+3) となって場合わけが必要ではありませんが、|x-1|≧2x+3 の 
時は 2x+3 の正負がわからないので場合わけが必要になります。 
 
 
 
みやた よしゆき (MIYATA Yoshiyuki)                         miyo@iname.com 
///////////////////////////////////////////////////////////////////////// 
PGP Key fingerprint RSA:9C36 39FB 27ED C94A 627F 6D39 826A CE62 
                    DSS:2F8E 9303 9F4B 66F5 50E4 A0B1 4A6F 80D3 5978 8BEA  
PGP public Key      http://www.nettaxi.com/citizens/miyo/outbox/ 
ICQ#                12899095 
 
 
-----BEGIN PGP SIGNATURE----- 
Version: 2.6.3ia 
Charset: noconv 
 
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yI9s7VmTP/E= 
=ODJb 
-----END PGP SIGNATURE----- 
 
 
●返信2 
 
-----Original Message----- 
差出人 : Chikaoka,Nobuyoshi <chikaoka@takanishi-hs.ed.pref.toyama.jp> 
宛先 : mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp <mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp> 
日時 : 1998年8月27日 21:15 
件名 : [mathedu98-00339] Re: @dBPCM$N$D$$$? 1 <!ITEy<0 
 
 
いつもご迷惑をおかけしている高岡西高校の近岡です。 
 
   "[mathedu98-00338] Re: 絶対値のついた1次不等式" において、 
   "MIYATA Yoshiyuki <miyo@iname.com>"さんは書きました: 
miyo> >問.|x-1|≧2x+3 を解け。 
miyo> >(解2)…原点からの距離 
miyo> >x-1≦-(2x+3),2x+3≦x-1 
miyo> >x≦-2/3,x≦-4   ∴ x≦-2/3 
miyo> > 
miyo> >何が問題になったかというと, 
miyo> >  教科書や参考書では(解2)の解き方をしているものが 
miyo> >  少ないのではないか。それはなぜだろう? 
miyo> >ということでした。 
miyo>  
miyo> 少ない?! ということは「ある」ってことですよね(^^; 
miyo> (解2)は誤答だと思いますが.....結果はあっているけど解としては...... 
miyo>  
miyo> この解答が成立するためには -(2x+3)≦(2x+3) が成立していないといけませんが、 
miyo> それは無条件では成立しません。 
miyo> 原点からの距離を使う方針で解くには、 
miyo> (1) -(2x+3)≦(2x+3) のときは x-1≦-(2x+3) , 2x+3≦x-1 ゆえに....... 
miyo> (2) -(2x+3)>(2x+3) のときは x-1≦2x+3 , -(2x+3)≦x-1 ゆえに....... 
miyo> って場合わけが必要です。 
miyo>  
miyo> |x-1|<2x+3 の形の問題の時は 2x+3 が正だと明らかなので自動的に 
miyo> - -(2x+3)≦(2x+3) となって場合わけが必要ではありませんが、|x-1|≧2x+3 の 
miyo> 時は 2x+3 の正負がわからないので場合わけが必要になります。 
 
まず、Cが正の定数のとき、 
命題1] |x−1|<C である必要十分条件は −C<x−1<C 
命題2] |x−1|>C である必要十分条件は X−1<−CまたはC<x−1 
が成り立つことは、周知の事実ですね。 
 
でも、これらの命題を拡張して、 
拡張1)Cが負の定数でも、これらの命題を認めるか 
拡張2)Cがxの関数でも、これらの命題を認めるか 
が、問題になるのではないでしょうか。 
# 認めたとして、「周知の事実として」認めるかも重要な問題。 
 
で、今の場合は、実は-(2x+3)≦(2x+3)かどうかは、 
「あまり」重要でないと思うのですがいかがでしょうか。 
 
# この問題は、互いに本質的にはそう大差ないことをいっていても 
# 表現が違うために誤解が生じて、おかしな議論に発展する可能性が 
# ありそうですね。気を付けなければ... 
 
-- 
近岡 宣吉  Chikaoka,Nobuyoshi 
富山県立高岡西高等学校(数楽科) 
E-mail:chikaoka@takanishi-hs.ed.pref.toyama.jp 
 
 
●返信3 
 
-----Original Message----- 
差出人 : Masasi Sanae <cptoh@mue.biglobe.ne.jp> 
宛先 : mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp <mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp> 
日時 : 1998年8月27日 21:44 
件名 : [mathedu98-00340] Re: 絶対値のついた 1次不等式 
 
 
早苗@北数教数実研です。 
 
>みやた です。 
> 
>>問.|x-1|≧2x+3 を解け。 
>> 
>>(解2)…原点からの距離 
>>x-1≦-(2x+3),2x+3≦x-1 
>>x≦-2/3,x≦-4   ∴ x≦-2/3 
> 
>この解答が成立するためには -(2x+3)≦(2x+3) が成立していないといけませんが、 
>それは無条件では成立しません。 
>原点からの距離を使う方針で解くには、 
>(1) -(2x+3)≦(2x+3) のときは x-1≦-(2x+3) , 2x+3≦x-1 ゆえに....... 
>(2) -(2x+3)>(2x+3) のときは x-1≦2x+3 , -(2x+3)≦x-1 ゆえに....... 
>って場合わけが必要です。 
> 
>|x-1|<2x+3 の形の問題の時は 2x+3 が正だと明らかなので自動的に 
>- -(2x+3)≦(2x+3) となって場合わけが必要ではありませんが、|x-1|≧2x+3 の 
>時は 2x+3 の正負がわからないので場合わけが必要になります。 
> 
 
 
問題は最後の部分にあると思います。 
  |a|<b ⇔ -b<a<b …(*) 
  (|f(x)|<g(x) ⇔ -g(x)<f(x)<g(x) と置き換えてもいいです) 
が常に同値関係が成り立つか,だと思います。 
(→)a≧0のとき 0≦a<b,a<0のとき 0>a>-b ∴-b<a<b 
(←)a<0のとき -b<a<bより−b<b ∴b>0 よって明らか 
 
もし(*)が成り立つのであれば,これの補集合を取ることで 
  |a|≧b ⇔ a≦-b,b≦a 
がいえます。 
そう考えれば,場合わけは必要ないのではないか,と思われるのですが。 
ただ答案にこのままの形で記述されたとき,どうしたらよいかというと? 
 
******************************************* 
北数教・数学教育実践研究会 運営委員 
 札幌稲北高校 早苗雅史 (suujitu@nikonet.or.jp) 
   TEL 011-694-5033      FAX 011-694-5074 
ネットワーク型教材データベース「数学のいずみ」 
   URL   http://www.nikonet.or.jp/spring/ 
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●返信4 
 
-----Original Message----- 
差出人 : Masasi Sanae <cptoh@mue.biglobe.ne.jp> 
宛先 : mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp <mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp> 
日時 : 1998年8月27日 21:57 
件名 : [mathedu98-00341] Re: 絶対値のついた1次不等式 
 
 
早苗@北数教・数実研です。 
 
>まず、Cが正の定数のとき、 
>命題1] |x−1|<C である必要十分条件は −C<x−1<C 
>命題2] |x−1|>C である必要十分条件は X−1<−CまたはC<x−1 
>が成り立つことは、周知の事実ですね。 
> 
>でも、これらの命題を拡張して、 
>拡張1)Cが負の定数でも、これらの命題を認めるか 
>拡張2)Cがxの関数でも、これらの命題を認めるか 
>が、問題になるのではないでしょうか。 
># 認めたとして、「周知の事実として」認めるかも重要な問題。 
 
わたしもそう思います。 
Cが負の数としても整合性は失われないといえます。 
これを教育の現場でどう扱うかというと,少し難しいかもしれません。 
 
 
●返信5 
 
-----Original Message----- 
差出人 : MIYATA Yoshiyuki <miyo@iname.com> 
宛先 : mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp <mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp> 
日時 : 1998年8月27日 23:31 
件名 : [mathedu98-00342] Re: @dBPCM$N$D$$$? 1 <!ITEy<0 
 
 
-----BEGIN PGP SIGNED MESSAGE----- 
 
"Chikaoka,Nobuyoshi" さん、こんばんは。 
 
みやた です。 
 
        1998年8月27日(木)午後9時7分 頃の、 
        【 [mathedu98-00339] Re: @dBPCM$N$D$$$? 1 <!ITEy<0 】 
        という題のメールへの返信です。 
 
>miyo> 原点からの距離を使う方針で解くには、 
>miyo> (1) -(2x+3)≦(2x+3) のときは x-1≦-(2x+3) , 2x+3≦x-1 ゆえに....... 
>miyo> (2) -(2x+3)>(2x+3) のときは x-1≦2x+3 , -(2x+3)≦x-1 ゆえに....... 
>miyo> って場合わけが必要です。 
(snipped) 
>まず、Cが正の定数のとき、 
>命題1] |x−1|<C である必要十分条件は −C<x−1<C 
>命題2] |x−1|>C である必要十分条件は X−1<−CまたはC<x−1 
>が成り立つことは、周知の事実ですね。 
> 
>でも、これらの命題を拡張して、 
>拡張1)Cが負の定数でも、これらの命題を認めるか 
>拡張2)Cがxの関数でも、これらの命題を認めるか 
>が、問題になるのではないでしょうか。 
># 認めたとして、「周知の事実として」認めるかも重要な問題。 
 
先の解答は、場合わけの仕方を 2x+3 の正負を基準にしたので、変な感じに 
なってしまいました。拙速はいけませんね(^^;反省。 
 
で、ご返事をかねて整理します。 
 
|f(x)|>g(x) については 
 
(1) g(x)<0 のときは 常に成立。したがって、g(x)<0 の解がこの不等式の解。 
(2) g(x)>0 のときは f(x)<-g(x) OR g(x)<f(x) と同値。したがって 
    「g(x)>0の解」AND 「f(x)<-g(x) OR g(x)<f(x)の解」がこの不等式の解。 
 
したがって、与えられた不等式の解は (1)の解と(2)の解の和集合。 
 
となって、なんの前提もなければ、やはり場合わけが必要と思うのですが。 
 
拡張(1)ですが、Cが負の定数のときは認めるかどうかではなく、不成立では 
ないでしょうか。すぐ反例がつくれますから。したがって拡張(2)はやはり 
無条件には成立しないので、命題としては不成立でしょう。 
 
 
 
みやた よしゆき (MIYATA Yoshiyuki)                         miyo@iname.com 
///////////////////////////////////////////////////////////////////////// 
PGP Key fingerprint RSA:9C36 39FB 27ED C94A 627F 6D39 826A CE62 
                    DSS:2F8E 9303 9F4B 66F5 50E4 A0B1 4A6F 80D3 5978 8BEA  
PGP public Key      http://www.nettaxi.com/citizens/miyo/outbox/ 
ICQ#                12899095 
 
 
-----BEGIN PGP SIGNATURE----- 
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=Jrzq 
-----END PGP SIGNATURE----- 
 
 
●返信6 
 
-----Original Message----- 
差出人 : Akio Furukawa <fakio@seg.co.jp> 
宛先 : mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp <mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp> 
日時 : 1998年8月28日 20:06 
件名 : [mathedu98-00343] 絶対値のはいった不等式 
 
 
At 11:29 午後 98/08/27 +0900, MIYATA Yoshiyuki wrote: 
> >まず、Cが正の定数のとき、 
> >命題1] |x−1|<C である必要十分条件は −C<x−1<C 
> >命題2] |x−1|>C である必要十分条件は X−1<−CまたはC<x−1 
> >が成り立つことは、周知の事実ですね。 
> > 
> >でも、これらの命題を拡張して、 
> >拡張1)Cが負の定数でも、これらの命題を認めるか 
> >拡張2)Cがxの関数でも、これらの命題を認めるか 
> >が、問題になるのではないでしょうか。 
>  
> 拡張(1)ですが、Cが負の定数のときは認めるかどうかではなく、不成立では 
> ないでしょうか。すぐ反例がつくれますから。したがって拡張(2)はやはり 
> 無条件には成立しないので、命題としては不成立でしょう。 
>  
 
 
古川@SEGです。 
 
上記のおっしゃる意味がわかりません。 
命題1 命題2 はいずれも、Cの 正負 に限らず 
全く正しいことは、いうまでもないかとおもいますが。。。。 
 
単純に、 
  |x-1| := max (x-1,1-x) 
ですから、 
 
 |x-1|<c --(1)   ⇔ max(x-1,1-x)<c  
                  ⇔ x-1<c and 1-x<c  --(2) 
 
 
 |x-1|>c --(3)   ⇔ max(x-1,1-x)>c  
                  ⇔ x-1>c or 1-x>c   --(4) 
 
であり、上記の同値変形は、cの正負によらず正しいのは 
いうまでもありません。 
 
 
> 拡張(1)ですが、Cが負の定数のときは 
> 認めるかどうかではなく、不成立では 
> ないでしょうか。 
 
c<0 のときは、 (1) も (2) もともに、真理集合は 空集合 
で同値です。  
 
------------------------------------------------------------------- 
  FURUKAWA Akio          Math Teacher of Scientific Education Group 
  Email fakio@seg.co.jp  Phone +81-3-3366-1466  Fax +81-3-3366-1689 
  SEG, 7-19-19, Nishi-Shinjuku, Shinjuku-ku Tokyo, 160-0023,  JAPAN 
  IPadrs      202.33.199.66         Pager 03-6209-6307 
  URLadrs     http://www.seg.co.jp/fakio/ 
  古川 昭夫 〒160-0023 新宿区西新宿7-19-19 SEG 
------------------------------------------------------------------- 
 
 
●返信7 
 
-----Original Message----- 
差出人 : fyasu@cocoa.ocn.ne.jp <fyasu@cocoa.ocn.ne.jp> 
宛先 : mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp <mathedu@peach.kjb.yamanashi.ac.jp> 
日時 : 1998年8月28日 21:40 
件名 : [mathedu98-00344] Re: @dBPCM$N$D$$$? 1 <!ITEy<0 
 
 
稚内の安田です。 
 
 絶対値不等式に関しての話題で、MIYATAさんの発言について私が考えたことを 
述べます。時間をかけてじっくり考えたわけではないので、私が単純なミスをし 
ているかも知れませんのでご検討下さい。 
 
  −−−−−−−−−− MIYATA さん筆 −−−−−−−−−−−  
> |f(x)|>g(x) については 
>  
> (1) g(x)<0 のときは 常に成立。したがって、g(x)<0 の解がこの不等式の解。 
> (2) g(x)>0 のときは f(x)<-g(x) OR g(x)<f(x) と同値。したがって 
>     「g(x)>0の解」AND 「f(x)<-g(x) OR g(x)<f(x)の解」がこの不等式の解。 
>  
> したがって、与えられた不等式の解は (1)の解と(2)の解の和集合。 
>  
> となって、なんの前提もなければ、やはり場合わけが必要と思うのですが。 
  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 
 
 についてですが、問題になるのは(1)の解集合が f(x)<-g(x) OR g(x)<f(x) 
の解集合に含まれるかどうかという問題だと思います(ただし、MIYATAさんの(2) 
では、g(x)>0 では不十分で、g(x)<= とイコール付きの不等式にしないと 
場合漏れになると思いますので、ここではそのようにして考えて進めます)。 
 
 今述べたことの根拠を以下に示しますが、それは当たり前ということであれば 
以下の根拠を読み飛ばして次の説明に移って下さい。 
 
   −−−−−− 上に述べたことの根拠 −−−−−−−−−−− 
なぜなら、場合分けをして不等式を解くとい 
う考えは、実数全体をいくつかのパートに分け、そのそれぞれのパートから解を 
拾い集めるという考えだと思います。今回の問題では、g(x)<0 が成り立つ集合 
をAとし、g(x)<=0 が成り立つ集合をBとし、実数全体をRとすると、 
R=A+B(+は集合の直和の意味)です。そして、問題の |f(x)|>g(x) の解 
の集合をSとすると、ド・モルガンの法則から 
   S=R共S=(A共S)+(B共S) (共:共通集合を取るという意味) 
ですが、 (A共S)については(1)にあるように、 
   (A共S)=A 
であり、(B共S)については、f(x)<-g(x) OR g(x)<f(x) を満たす集合を 
Cとすると、(2)にあるように 
   (B共S)=(B共C) 
です。それで、S=A+(B共C)となります。ここで再びド・モルガンの法則 
を使うと 
   S=A+(B共C)=(A和B)共(A和C) 
            =R共(A和C) 
            =A和C 
となります。つまり、AがCに含まれていれば S=C となり、g(x) の符号 
を意識する必要なく、Cの不等式を解くだけで本来の不等式の解が得られること 
になります。 
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 
 
 ここで、(1)の解集合が f(x)<-g(x) OR g(x)<f(x) の解集合に含まれると 
いうことを示します。 
 
 さて、g(x)<0 の解の一つを x=a とおきます。つまり、g(a)<0 です。 
そして、この x=a が(2)の解になっているかどうかを調べます。つまり、 
   f(a)<-g(a) OR g(a)<f(a) 
が成り立つかどうかということです。ところで、g(a)<0 なので、 
   g(a)<-g(a) 
です。ということは、任意の実数 b に対して b<-g(a) OR g(a)<b が成り立つ 
ことになります。ということは当然 f(a)<-g(a) OR g(a)<f(a) も成り立つこ 
とになります。 
 ですから、結論として f(x)<-g(x) OR g(x)<f(x) を解けば、元の不等式を 
解いたことになると思うのですが。 
 
 以上が考えたことです。 
 
                               8月28日 
                               安田富久一 

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