複素数はどのような変換によって特徴づけられるであろうか。
複素数の概念を明確にする為には次の3つの事柄が本質的なことである。
ここで平面ペクトルの集合Uを考える。∈Uに対してπ/2回転移動したベクトルを*∈Uとする。
=(||、θ)とすると*=(||、θ+π/2)となる。
ここで次のように定義する。
《定義》
平面ベクトルの変換:├→*を虚数単位を特徴づける変換と呼びiで表わす。この変換iは線型であることを示そう。
すなわち、i;├→*
また i;├→iとすると*=i、
つまり変換iとは平面ベグトルをπ/2回転させる変換である。
図で=1、=2、=3とする。
Oを中心とするπ/2回転によって、点A、点Bは、それぞれ点C、点Dに移るとする。このとき
=1*、=2*、=3*
となる。
今、=+に上式を代入して
3*=1*+2* ・・・@
ここで
3==+=1+2、
1*=i1、2*=i2、3*=i3
を@に代入する。
i3=i(1+2)=i1+i2
∴. i(1+2)==i1+i2
よって変換iは線型である。
次に合成変換i・iについて考える。
i;├→* 続いて i;*├→(*)*
よってi・i;├→(*)*となる。
=(||、θ)とすると
*=(||、θ+π/2)、
(*)*=(||、θ+π/2+π/2)
よって(*)*=(||、θ+π)=−
従ってi・i;├→−となりこの変換は(−1);├→−と同じ変換である。
よってi・i=−1、合成変換i・iと略記することにすれぱi2=−1となる。
続いてiと実数aとの積は可換であることを示す。
これは合成変換i・aとa・iとが同じ変換であることを示すことになる。
a・i;├→a(i)
i・a;├→i(a)
であるから結局はa(i)=i(a)となることを確かめればよいのである。
a=0と=の場合は自明なので省略し、a≠0、そして=(||、θ)として考える。
(@)a>0のとき
(A)aく0のとき
以上よりいずれの場合もa(i)=i(a)となるから、変換aiと変換iaとは同じ変換であるからai=iaとなる。今後はこれをai=iaと表わすことにする。
次に2つの変換aとbiとの和を考える。
a;├→a
bi;├→b(i)
より
a+bi;├→a+b(i)
となる。これは
a+bi;a├→a+b*
と考えてもよい。
つまり変換a+biはにa+b*を対応させる変換である。
この変換の和a+biは線型であることを示そう。まず
a+bi;├→a+b(i)はa+bi;├→(a+bi)
なのであるから
(a+bi)=a+b(i)
となる。
次に任意の2つのベクトル1、2に対して、
a;1+2├→a(1+2)
bi;1+2├→b(i(1+2))
の2つの変換を考える。
これよリ2つの変換の和は
a+bi;1+2├→a(1+2)+b(i(1+2))
となる。
a+bi;1+2├→(a+bi)(1+2)
であるから、
(a+bi)(1+2)=a(1+2)+b(i(1+2))
となる。
iの線型性は既に確かめてあるので、
i(1+2)=i1+i2
よって
b(i(1+2))=b(i1+i2)=b(i1)+b(i2)
従つて
(a+bi)(1+2)=a(1+2)+b(i(1+2))
=a1+a2+b(i1)+b(i2)
=a1+b(i1)+a2+b(i2)
=(a+bi)1+(a+bi)2
となり、a+biの線型性が証明される。