インターネット

1-1 インターネットとは

インターネットとは、「世界中のすべてのコンピュータをつなぐコンピュータ・ネットワーク」である。現段階では約1000万台以上のコンピュータがインターネットに接続されていると推定されている。インターネットの特徴の一つは、つながっているコンピュータは他のつながっているコンピュータと1対1で自由にコミュニケーションできることである。これは電話をかけて会話をしていることをイメージさせ、一つのコンピュータが他の多数のコンピュータとコミュニケーションしているときは、テレビや新聞などのメディアをイメージさせる。

1-2 インターネットの意味

テクノロジーがコミュニケーションを作り上げていくためには、実際の人間がコミュニケーションを使って、かなり不確定な要素をもとに実績をあげていく戦法を取っている。純粋に理論的に考えられる可能性を全部数え上げてチェックしていくというのとは違う。

インターネットを環境としてとらえると、「双方向性(インタラクティブ)」「対等性」という特性からして、デジタル・テクノロジーと人間の関係を考えるためのプロトタイプであるといえる。インターネットの環境の中でデジタル・テクノロジーが人間のいろいろな知的活動を支えるようになった現在、人間や世界がどのように変わっていくかということを誰もが考えられるようになる。

今後いろいろなデジタル技術が発展することを視野に入れれば、メディアとしてのインターネットと、他のメディアとの協調、補完関係というものこそ、考えていかなければいかない。良いか悪いか、右か左か、などという二者択一的な判断基準は厳しく排除されなければならない。今のインターネットの技術が出来ることから出発して進めていくべきではないか。すべてをインターネットでやる必要はないのであって、他のメディアとの複合的利用が進む方がはるかに意味がある。

インターネットというのは、個人が自らの責任で、自由に情報を公開し、交換し、共有することが出来るための環境を作っていくということに非常に重要な意義がある。

1-3 インターネットとパソコン通信

パソコン通信は、中央に備え付けられた大きなコンピュータ(ホスト・コンピュータ)に利用者がみんなでぶら下がるというイメージである。ホスト・コンピュータは厳格に管理され、利用者のデータは安全に保護されることになる。しかし反面、利用者が望むサービスは限定され、もちろん利用者が何かのアクションを自分から起こすことなどはよっぽどのことでもない限り考えられない。

インターネットは個々のコンピュータが対等に結びつきあっているので、ホスト・コンピュータなどによる十分に保証(保障)されたサービスを受けることは望めないが、完全にそれぞれのコンピュータが自律しているので、自分の発想で新しいサービスを簡単に提供し始めることができる。インターネットが「ネットワークのネットワーク」といういい方をされることがあるが、この意味でパソコン通信は、インターネットの中の一つのネットワークであるといえる。

1-4 インターネットでのサービス

1-4-1 電子メイル(E-mail)

郵便での手紙のやり取りでは、受け手がそこにいないと受け取ることができないという空間的な制約があるし、時間的に同時的とはいえない。ファックスは郵便と比較して時間的には有利ではあるが、空間的には同じことがいえる。電話は時間的には同時性を持つが、空間的にはやはりそこに相手がいないとコミュニケーションが取れない。携帯電話やPHSなどはその点空間的にも時間的にも自由な利点がある。

これらと電子メイルとを比較すると、電子メイルは時間的に世界中ほとんど瞬時に届くし、メイルのチェックは世界のどこにいようともネットワークを通して可能である。さらに内容がデジタルデータになっているので、保存にしろ再利用にしろ、いろいろな形で可能である。インターネットに専用回線でつながっている場合、パソコン通信と違ってメイルの到着はリアルタイムで知ることが可能である。また課金の面でも電子メイルは圧倒的に有利である。

1-4-2 メイリングリスト(Mailing List)

共通のテーマや話題について議論を行おうとする場合、メイリングリストを作る場合が多い。この仕組みは電子メイルを利用しており、参加者が発言のためにポストしたメイルは、登録されている参加者全員に配送されるというものである。手軽にサークル的にコミュニケーションが取れるので、いろいろなものが存在する。

《参考》Appendix A

1-4-3 ネットニュース(NetNews)

パソコン通信でいう電子掲示板の世界規模のものといえる。多様な話題についての討論議論などが世界規模で行われている。新しい話題についてのボードを創設することも可能で、民主的な運営が行われている。

1-4-4 FTP(File Transfer Protocol)

みんなで共有したいアプリケーションソフトウェアやデータを集めて保存しているコンピュータが世界中にあり、このFTPという仕組みを使って自分のコンピュータに転送してくることによって利用できる。どんな異機種間でもファイル転送が可能なので、コンピュータの種類をとやかくいう必要はない。

特に Anonymous FTP については、通常のFTPはファイルを転送する相手先のコンピュータを利用するためのIDが必要であるが、このID取得は簡単にはいかないのでこのままではファイルの共有を自由にできない。そこで「Anonymous」という誰でも使用できるIDを提供することによって、誰でもFTPサービスを利用できるようにしたものである。

1-4-5 Archie

FTP を使って自分の欲しいファイルを探そうというとき、世界のどこのコンピュータにそのファイルが存在するかという情報があれば直接手に入れることができる。そうでない場合には、多くのコンピュータを渡り歩かなくてはならなくなり、また膨大なファイルのリストの中から探さなくてはならなくなるので大変な労力が必要となる。このArchieが可能なコンピュータは、世界中のFTP できるファイルのリストを情報として持っており、ファイルを探すための便宜を図ってくれる。

1-4-6 TELNET

ネットワークを介することで、離れたところにあるコンピュータを自分のコンピュータを使うように使用できるためのサービスである。世界中にある電子図書館やさまざまなデータベースにアクセスできるようになる。普通はFTPサービスのように誰でもが他のコンピュータを利用できるわけではないが、このように公開されたコンピュータが存在するのである。

1-4-7 WWW(World Wide Web)

モザイク(Mosaic)という言葉で、インターネットというとこのサービスであるかのようなイメージを与えている。インターネット上に分散して存在する情報をクモの巣(Web)のように互いに結びつけあって、巨大な情報空間を作り出しているものである。

このサービスを受けようとする者は、情報間のリンク(結合)をたどりながらネットワーク上を渡り歩くことになる。情報(リソース=テキスト・画像・動画・音声など)間の結びつきはハイパーテキストとして実現され、テキストの中に「リンク」のマークが付けられており、このマークは他の情報を指し示す情報を持っている。このリンクをたどることで世界中のコンピュータに存在する情報の海を無意識のうちにさまようことが可能となっている。

1-4-8 その他

広域分散処理を基本とするインターネットの世界では、日進月歩どころか秒進分歩の早さで技術が進化している。従って、インターネットの可能性を語るときに、現在の状況だけで判断してはその将来に向けての的確な把握を誤ることになる。パソコン通信との違いでも書いたように、インターネットでは自らのサービス提供が可能な仕組みとなっており、その種類もどんどん拡大していっている。次に、その中から以下の革新し続ける技術を紹介する。

・VRML
・JAVA
・CU-SeeMe
・IRC(Internet Relay Chat)
・Internet Phone