5.もはや特別でないコンピュータ
5_1 あくまでも教材が中心
これまで見てきたように数学に用いることができるソフトは数多く存在します。しかし,どんなソフトを用いたとしても大事なのは教材の中身です。魅力ある授業を作るには,魅力ある題材が必要になります。ソフトウエアの機能を理解して使いこなす前に,どういった場面で,どんな内容で用いたいのか。そうした教材研究こそが必要であると思われます。
5_2 コンピュータは万能でない
コンピュータばかりに頼るのも大きな問題があります。最近の生徒はコンピュータに慣れている世代ですから,内容が伴っていなかったり,だらだらと間延びした授業ではそっぽを向いてしまいます。場面によっては,様々な教具を用いた方が,逆に生徒にとっては新鮮で,かつ,インパクトが強いといえます。また,数学通信やイメージ画像を多く取り入れたプリントなども効果があります。
《参考ページ》
5_3 誰がどのように使うのかを考える
コンピュータをどうった場面で使うか,ということも大事な要素です。
- 教師が授業で使う
- 生徒が授業で使う
- 教師が教材研究として使う
色々な場面が考えられますが,その内容に適した使い方も考える必要があります。
《参考ページ》
5_4 道具から環境へ
コンピュータ自体は,あくまで数学を学習するうえでの道具でしかありません。繰り返しになりますが,大事なのは "魅力ある教材の研究"なのです。
最近では,そうした道具から更に踏み込んで"環境"としてのコンピュータ,ともいわれています。既に,日常的になりつつあるコンピュータ,わたし達はどう付き合っていけばよいのかをよく考える必要があります。
5_5 科目「情報」との関係は
次期カリキュラムに登場する新教科「情報」。普通科目「情報」は,いかにして情報を活用し,表現していくのか,そうした基本的な事項を学んでいきます。決してスキルを学ぶものではありません。
これまで,数学A,B,Cにそれぞれあったコンピュータに関する部分は,数学Bの一部を除いて消えることになりました。これまでの数学的なアルゴリズム部分は「情報B」の中に吸収された形となっています。問題はその中では数学的な素養が入っていないということです。最も危惧されるのは,コンピュータは「情報」に任せればいいとなれば,コンピュータを用いた数学教育が後退してしまうのではないかということです。