《大賞作品紹介》@
『二次不等式 b2-4ac を探る』

1年 女子

 「はい、こちら2次不等式探検班ですっ。」油を売っていた隊長に待望の捜査命令の電話が響いた。

 研究班では、の交点を見つけるには「」を用いれば判断できるとレーダーでキャッチした。隊長は老いているため若い隊員4人を現地に飛ばした。

 ところで、気になる捜査命令の内容は「の場合、どのような解の種類があるか」というものである。他のの解についての捜査はもうすでに解明済みであるという。

 隊員たちは、ヘリから降り目の前にした4つの洞窟に心が凍った。こういう場合、一人一つの洞窟に入らなければいけないからだ。隊員1は、 と書いてある道に進んだ。隊員2は、 へ、隊員3は へ、隊員4は へと進んだ。

 隊員4は、無線でみんなに問いかけた。

 「オイ。このグラフの形をした床に“α”文字がどのくらいあるかを調査しろってことだろ?」

 他の隊員は、不安そうに

 「そうなんじゃない?」

と答える。

 しばらくの間は、みんな“α”文字を探しているのだろうか無線は途絶えたままだった。1時間後、4人ともヘリに戻ってきた。

 隊員2「俺の入ったの洞窟はグラフの床に一つも“α”文字がなかったぞ。」と、それぞれ語り始めた。隊員1は「私の所は、やたらと“α”以外の文字がたくさんあって“α”文字なんか一つもなかったわ。」隊員4は「ぼくの所は、あの広いグラフの床を探しても一つしかなかったぜー。」隊員3は「私の所は、ありとあらゆる実数の最先端に“α”文字が一つあったわ。」などと語っているうちにヘリが事務所に着いた。

 隊員たちは、調査内容を詳しく研究班に伝えた。おかげでの謎が解けた。今回の調査結果を基にしてコンピュータで分析すると、の場合の解も解明できた。

 この立派な活躍ぶりは、教科書にきちんと載って生徒たちが勉学に励んでいるそうです。隊員たちの熱い闘いは、それ以後現れることはなかった。       −おわり−

♯寸評♯
 二次不等式において、 のときに解の種類が4通りあることを 軸の床に喩え、重解αを探すという発想が非常に良かったです。物語の展開も興味を引く内容でした。