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 「ル―ロ―の三角形」とは右図の様に、正三角形の各頂点を中心とする60°の円弧で囲ったものである。点Gは、△A123の重心である。
  A12=A23=A34=2
  A12=A23=A34

 今、図1、図2、図3、図4の様に1辺の長さが2の正方形の内部を、ル−ロ−の三角形が反時計方向に回転するものとする。

問1
右図5の様にP1,1),Q(−1,1),R(−1,−1),S(1,−1)なる正方形PQRSの内部に、ル−ロ―三角形 A123が存在する時、点A1,A2,A3の重心Gの座標を求めよ。

 右図6の様に、ル−ロ−の三角形が、正方形PQRSの内部を、反時計に回転する時

問2
30度回転した時の点A1,A2,A3,重心Gの座標を求めよ。

問3
更に、30度回転した時の点A1,A2,A3,重心Gの座標を求めよ。

問4
ル−ロ−の三角形が、正方形の中で完全に1回転した時、重心Gが原点Oを中心に、円周のような道のまわりを何回、回転するか。

問5
以下同様に、正方形の内部を反時計まわりに回転する時、t°(0≦t≦30°)回転した時の重心Gのx座標、y座標をtを使って表せ。ただし、点V(x,y)を原点Oを中心にθ度回転した点をW(X,Y)とすると、となる。


三角比の基本的な概念と、仮想実験的な想像力を数式として表現できるか。


問1

 P(1,1),Q(−1,1),R(−1,−1),S(1,−1)より
右図より
  A23=2,A3H=1,HA2
  IH=IA2−HA2
    ∴ IH=2−
IH+HO=1よりHO=1−(2−)
    ∴ HO=−1
座標で表示すると
  A1=(1−,−1),A3=(1−,1)
Gは重心だから、HG:GA2=1:2
  GA2=2HG
GのX成分をXGとすると
  1−XG=2{XG−(1−)}
   ∴ XG,G(,0)
これらをまとめると
  A1(1−,−1),A2(1,0),A3(1−,1),G(,0)

問2

Step1
 ル−ロ−の三角形A123を重心Gを中心に、反時計方向に30度回転した点A1',A2',A3'の座標を求める。
2(1,0),G(,0)より
  GA2=1−   ∴ GA2
2をG(,0)を中心に、30度回転するとFig-2のようになる。
2'からX軸へ垂線を下ろし、X軸との交点をB2とする。
  GB2=GA'2cos30°
  GB2×=1
GO+OB2=GB2より
  OB2=GB2−GO
  OB2=1+
Y成分について考えると
  A2'B2=GA2'sin30°=
   ∴ A2'()
以下同様に、A3'を求めると
3'からX軸へ垂線を下ろし、X軸との交点をB3とおくと
  B3G=GA3'cos30°=×=1
  OB3−1=−
Y成分について考えると、
  A3'B3=GA3'sin30°=×

Step2
 Fig-2のままでは、正方形からはみだしてしまうので、正方形のなかにすっぽりと収納されるように、ル−ロ−の三角形を平行移動しなければいけない。
 A2'がx=1に接する様に、A1'がy=−1に接するように、つまりx軸方向へ、y軸方向へ平行移動するとFig-3  のような図になる。
 A1',A2',A3'をx軸方向へ、y軸方向へ平行移動した点をA1'',A2'',A3''とおくと、

平行移動前
 A1 '(,−),A2' (),A3' (−),G(,0)

平行移動後
 
 
 
 


問3
  初期条件   30度回転   60度回転
 更に30度回転すると、Fig-4の状態になるので、過去の規則性から
  A3''' (−1,0),A1 ''' (−1,−1),A2''' (−1,1), G''(,0)
となる。


問4

 初期状態A2(1,0)が、反時計方向に30度回転した時、重心Gは逆方向つまり時計方向へ−90度回転しG'へ移動することがわかる。

2の回転角30 60・・・360
Gの回転−90−180・・・−1080

 つまり、A2が完全に1回転した時、重心Gは3回転することになる。


問5

 重心Gの軌跡の方程式についてル−ロ―の三角形が回転角t(0≦t≦30)の時、重心Gの軌跡の方程式を求める。

初期条件
 A1(1−,−1),A2(1,0),A3(1−,1),G(1−,0)
Step 1
 ル−ロ−の三角形の重心Gと、Oが一致する様に平行移動し、更にOを中心に反時計方向にt(0≦t≦30)回転した時のA1',A2',A3'を求める。

 Fig-5のル−ロ−の三角形の重心GをOに一致する様に平行移動したときのA1,A2,A3をA10,A20,A30とおく。
  A10(−,−1),A20(,0),A30(−,−1)
 つまり、x軸方向にだけ、平行移動した。
10,A20,A30をOを中心にt(0≦t≦30)反時計方向に回転した点をA1',A2',A3'とおくと。回転角の公式を利用して
  
  
この3点 A1',A2',A3'をFig-5の重心Gの点、元の重心座標に戻してみると、正方形からはみだしてしまうが、Fig-7のようになる。
 つまり、x軸方向へ平行移動すると
  
  
  

 次に、Fig-7のル−ロ−の三角形を正方形の中へ戻すための平行移動を考える。

x成分について
 A2''が直線x=1に接する様に平行移動する。つまり、x軸方向へ平行移動する。
y成分について
 A1''が直線y=−1に接する様に平行移動する。つまり、y軸方向へ平行移動する。
 に平行移動される。
 重心Gの軌跡の方程式は、tをパラメ−タ―として
   (0≦t≦30)
と表示される。


  [発展]

 この軌跡の方程式は、いったいどのような形状をしているのだろうか?
 『Mathematica』という数式処理ソフトで作図してみた。Gの軌跡は恐らく円になるだろうと予想していたのですが…。
 Fig-9が0≦t≦30の時、Fig-10が0≦t≦360の時で作図したものです。

見て理解できるように、重心G  の軌跡のは、楕円の一部であって、円ではなかった。 問3の解答の図Fig-4をみれば理解できる様に、30度の回転でGは90度回転する。つまり、Fig-9のような形をした楕円の一部を、4つ貼り合わせた形になる。
 Fig-11になる。
 実生活では、ル−ロ−の三角形の形をしたドリルの刃を回転させて、正方形の穴をあけたりすることは、良く知られているのだが、重心Gがいったいどのような動きをするのかは、以外に知られていない。
 その他にル−ロ−の5角形で。正6角形の穴を作成することもできるようです。
 このような問題を「変心ドリル問題」と呼んでいるようです。
 興味・関心がある生徒は、この他にもどんな穴が作成可能なのか、いろいろと考えてみると、面白いと思います。

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