関数ラボを用いた授業について

 これまで2次関数のグラフの指導は、プリントを使用して、xとyの間の対応表をつくり、座標平面上に点を取ってグラフを書きその形や位置関係を調べたりして指導していた。もちろん、点を結ぶと放物線になる事を体験させることは、実際にグラフを書く時に役立ち、今後の代数的な扱いによる抽象的な学習の理解の助けにもなるであろう。

 しかし、こういった指導では、例えば、y=xのグラフをx軸方向に3,y軸方向に2移動するとy=(x−3)+2のグラフに重なる事などは、頂点の移動などから理論的には納得させることはできるだろうが、はっきりとイメージを持たせる事は難しい。コンピューターの画面に様々のグラフを表示したり実際にグラフを移動させて見せることにより、問題意識や興味を引きおこし、今後の学習への動機付けにもしたい。また、対応表から点を取りグラフを書くには多くの時間を必要とする。コンピューターでグラフを描いて見せることにより時間を節約でき、その分演習に力を入れたいと考えた。

 ここでは、コンピューターによる授業を行った3クラスのうち、1年6組の例を次ページから紹介する。

.コンピューターによる指導の実施概況(1年6組)

 2次関数では、関数の定義域や値域,2次関数の係数とグラフの形や位置の関係の指導に、2時間コンピューターを使用した。また、2次関数のグラフとx軸の位置関係の演習 問題をコンピューターを用いて指導した。ソフトは関数ラボである。

◎6月15日(木) −2次関数1時間目−
2次関数の最初の時間で、
    第1章 2次関数  1.関数とグラフ
      関数ラボの操作の仕方   関数の定義   定義域   値域 
     1次関数のグラフ     1次関数の定義域,値域
を情報処理室でコンピューターを使用して指導した
関数ラボのファイルの内容を9ページから記載している。

◎6月16日(金) −2次関数2時間目(+数学Aの試験)−
情報処理室が使えないため、1年6組教室において40分間で前の単元(数学A:第1章 数と式 第3節 式と証明)のまとめの試験を実施。
 10分間で、
   第1章 2次関数  2.関数とグラフ
2次関数の定義   上に凸,下に凸
   y=x,y=−x のグラフ   放物線   頂点,軸
について簡単に説明した。普通教室なのでコンピューターは使用していない。

◎6月19日(月) −2次関数3時間目−
 情報処理室でコンピューターを使用して、
    第1章 2次関数  2.関数とグラフ
      y=ax,y=ax+bx+c,y=a(x-p)+q の係数とグラフの形や位置の関係
      グラフの頂点と軸
について指導した。
 関数ラボのファイルの内容を12ページに、学習指導案を13,14ページに、授業で用いたプリントを15ページに記載している。

 また、この授業終了後にアンケートを実施した。16ページからアンケートの集計結果を記載している。

◎8月28日(月) −2次関数20時間目−
 情報処理室でコンピューターを使用して、
    第1章 2次関数  5.2次方程式
で、2次関数のグラフとx軸の位置関係に関する演習問題、例題4,練習21,例題5,練習22を指導した。コンピューターを使用することにより、計算だけで終わらずに常にグラフのイメージを持たせながら指導できた。

.2次関数1時間目の授業に使用した関数ラボファイル (6月15日実施分)

”関数導入.LMS”

・対象式 (a,f(a))

・定義式 f(x)=x

・記 録

関数は、中学校でも学習してきましたね。
中学校ではどんな関数を学習しましたか? 学習した関数を1つ言ってください。
y=      ・・・@
   パソコンが@のグラフを書いてくれます。良く見ていてください。

      −そこで質問−

”変数1.LMS”

・対象式 y=f(x) (a,0)-(a,f(a))-(0,f(a)) (a,f(a)) (a,0) (0,f(a))

・定義式 f(x)=2x+1

・記 録
<模擬試験受験者と受験料>
第2回模試(受験料2300円)について、
受 験 者 → x人 受験料総額 → y円
   とするとき、xとyの間に
   x y
2人−−−→ 4600円
5人−−−→11500円
   といった対応がある。
   このとき、xとyは変化する量のいろいろな値を代表している。

”関数定義.LMS”

・グラフ あらかじめy=2x-1のグラフが描かれている。

・対象式  (a,0)-(a,f(a))-(0,f(a)) (a,0) (0,f(a))

・定義式 f(x)=2x-1

・記 録
◎関数の定義
模擬試験の例において
受験者x 受験料総額y
5人 −−→ 11500円
10人 −−→ 23000円
のように、受験者と受験料の間には一定の対応関係があり、受 験者が定まればそれに対応して受験料の総額が決まる。

   <関数の定義>
関数とは『数と数の対応の規則』
     グラフ→アニメーション
   を実行して、関数 y=2x-1 にお ける対応の様子をみてみよう。

”定・値域.LMS”

・グラフ あらかじめy=x-2のグラフが描かれている。

・対象式  y=f(x)  (1+a,0)-(1+a,f(1+a))-(0,f(1+a)) (0,f(1+a))

・定義式 f(x)=x-2

・記 録
◎関数において
定義域:変数xのとりうる値の範囲
   値 域:変数xに対応する変数yの取りうる値の範囲
例2 関数 y=x-2 (1≦x≦4)のグラフを書き、その値域を求めよ。
[解法] グラフ→アニメーションを実行して、aの値を減少させてみよう。
答え □≦y≦□

”練2(1).LMS”

・グラフ あらかじめy=2x+1のグラフが描かれている。

・対象式  y=f(x)  (0+a,0)-(0+a,f(0+a))-(0,f(0+a)) (0,f(0+a))

・定義式 f(x)=2x+1

・記 録

練習2 次の関数のグラフを書き、その値域を求めよ。
(1) y=2x+1 (x≧0)

[解法] グラフ→アニメーションを実行して、aの値を増加させてみよう。
答えのみノートに記入してください。

”練2(2).LMS”

・グラフ あらかじめy=-3x+2のグラフが描かれている。

・対象式  y=f(x)  (-2+a,0)-(-2+a,f(-2+a))-(0,f(-2+a)) (0,f(-2+a))

・定義式 f(x)=-3x+2

・記 録

練習2 次の関数のグラフを書き、その値域を求めよ。
(2) y=-3x+2 (-2≦x≦3)

[解法] グラフ→アニメーションを実行して、aの値を減少させてみよう。
答えのみノートに記入してください。

.2次関数3時間目の授業に使用した関数ラボファイル (6月19日実施分)

”2次関数1.LMS”

・グラフ  あらかじめy=1/2x2のグラフが描かれている。

・対象式 y=ax2    (0,0)

・記 録
 ◎2次関数y=ax(a≠0)のグラフaの値を増減させ、グラフの変化の様子を調べよう。

”2次関数2.LMS”

・グラフ あらかじめy=x+2x+5のグラフが描かれている。

・対象式 y=ax+bx+c   x=-b/2a   (-b/2a,-(b2-4ac)/4a)

・記 録
  ◎2次関数y=ax+bx+c(a≠0)のグラフ
a,b,cの値を増減させ、グラフの形や位置の変化の様子を調べよう。

”2次関数3.LMS”

・グラフ あらかじめ y=2(x−1)−3のグラフが描かれている。

・対象式 y=a(x-p)+q x=p (p,q)

・記 録
◎2次関数y=a(x-p)+q(a≠0)のグラフ
a,p,qの値を増減させ、グラフの形や位置の変化の様子を調べよう。

.2次関数3時間目の授業の学習指導案 (6月19日実施)

   ここをクリックしてください。

.2次関数3時間目の授業に使用したプリント (6月19日使用)

   ここをクリックしてください。